【髪型応用編】エレガントな縦ロールが描ける!「螺旋構造」を理解した描き方と塗り方講座
キャラクターの魅力を最大限に引き出す、華やかでエレガントな「縦ロール」の髪型。西洋の貴族や、物語のヒロインを象徴するこの髪型は、イラストにおいて圧倒的な存在感を放ちます。しかし、「どうやって描けばこの立体的なカールが出るの?」「複雑に絡み合って見えてしまう」と、難易度の高さから挑戦を諦めてしまうイラストレーターも少なくありません。
今回は、人気動画クリエイター「スケッチパレット」さんのチュートリアルを参考に、縦ロールの複雑な構造を理解し、プロ級の立体感とツヤを出す描き方・塗り方を徹底的に解説します。この方法をマスターすれば、あなたのキャラクターは一気に格調高く、魅力的な姿へと変貌するでしょう。
1. 縦ロールの鍵は「曲がった三角柱」の構造理解
縦ロールを攻略する最大の秘訣は、「髪の毛の束を、立体的な図形として捉えること」です。
1-1. シルエットは「曲がった三角柱」をイメージ
縦ロールの全体像は、上から下に向かって細くなる、「曲がった三角柱(または円錐)」のような立体をイメージしましょう。
- 上部:広がりがあり、太い。
- 下部:細く、尖っていく。
- 形状:この三角柱が、軸に沿って螺旋状にねじれている、と考えると構造を理解しやすくなります。
このイメージを持つことで、描き始めから、立体感と遠近感を意識したパースのついた縦ロールを描くことができます。
1-2. シルエットができたら「境界線」を消しゴムで描く
曲がった三角柱のシルエット(大きな青い塊)を描いたら、次に「消しゴムツール」を使って、螺旋状の境界線(ボーダー)を描き込みます。
- 消しゴムで消す:螺旋状に巻かれたリボンのように、髪の束が手前と奥で交互に見えるように、消しゴムで塊を削っていきます。
- リボンの重なり:この境界線を描くことで、髪の束が「奥」に回り込んでいる部分と、「手前」に出てきている部分が明確になり、縦ロール特有の螺旋構造が生まれます。
2. 縦ロールの構造を完成させる「裏側」の描き方
螺旋構造の立体感をさらに高めるため、次に「髪の毛の裏側」を描き加えていきます。
2-1. 構造を意識した裏側の描写
ステップ1でリボンのように削った部分、つまり奥に回り込んでいる髪の束の「下側」に、裏側の面を描き加えます。
- 線のつながり:裏側を描く際は、髪の束が連続した一本の帯であることを意識し、線が途切れないよう、論理的に描き加えましょう。
- 影の準備:この裏側は光が当たりにくいため、後の着色で濃い影を入れる「準備の線」となります。線画の段階で、裏側の存在を明確にしておくことが重要です。
2-2. 毛束の調整とディテール
螺旋の全体像ができたら、指先ブラシやGペンなどのツールを使って、毛束の形を調整し、繊細なディテールを加えていきます。
- 指先ブラシで毛束の乱れを表現:指先ブラシ(ぼかし、またはにじみツール)で、毛束の輪郭をわずかに擦り、毛束感を出します。これにより、硬質なリボンではなく、柔らかい髪の束に見えるようになります。
- Gペンで毛先を締める:毛先の流れや、巻きの終わりをシャープな線で描き込むことで、全体が引き締まり、立体感が強調されます。
3. プロ級のツヤと立体感を出す「塗り方」の秘訣
縦ロールは、複雑な塗り分けを行うことで、その魅力が最大限に発揮されます。
3-1. 光と影の境界線に「彩度の高い影」を加える
ただ暗い色を塗るだけでなく、影の色に工夫を凝らすことが、プロの仕上がりへの近道です。
- 影の基本:裏側(奥に回り込んでいる部分)には、ベースの色よりもかなり暗い色で影を入れます。
- 彩度の高い影:さらに、影と光の境界線に、ベースの色よりも彩度が高い(鮮やかな)影の色を重ねて入れ、ぼかします。
- 効果:この彩度の高い影を入れることで、光が当たっている部分がより際立ち、ツヤ感や透明感が生まれます。特にアニメ塗りのイラストで効果的なテクニックです。
3-2. 裏側にも「束感」と「立体感」を意識した着色
裏側の影も、単一のベタ塗りではなく、束感を意識して塗り分けましょう。
- 裏側の塗り分け:裏側にも、さらに暗い色で影を入れ、**裏側の毛束の「丸み」**を表現します。
- 影の中のハイライト:ごくわずかに明るい色を差すことで、影の中にわずかに反射している光(反射光)を表現し、暗い面にも情報量を持たせます。
3-3. 仕上げに「後れ毛」と「光のツヤ」を加える
全体が塗り終わったら、最後に全体の雰囲気を調整します。
- 明るい色で「後れ毛」を描く:縦ロールの束から少し外れた部分に、明るい色で細く後れ毛やハネ毛を描き加えます。これにより、髪が固まって見えず、自然で柔らかい印象になります。
- ハイライトの調整:光が最も強く当たっている部分に、白に近いハイライトを細くシャープに入れることで、金属のような強い光沢感とツヤが生まれます。
まとめ:縦ロールは「立体図形」として描くのが成功の秘訣!
エレガントな縦ロールは、一見複雑ですが、以下の基本を理解すれば必ず描けるようになります。
- 【構造】 髪の束を「曲がった三角柱」として捉える。
- 【線画】 消しゴムで螺旋状の境界線を描き、裏側の線で立体感を確定させる。
- 【着色】 影と光の境界線に彩度の高い影を入れ、ツヤと奥行きを出す。
このチュートリアルを参考に、ぜひあなたのキャラクターに、物語のヒロインのような華麗な縦ロールを描いてみてください。この髪型を描きこなせれば、あなたのイラスト技術は次のレベルへ進化すること間違いなしです!