【簡単なのに透明感!】プロが教える「手の塗り方」:アニメ塗り(セルルック)で指先に血色と立体感を宿すテクニックイラストお役立ち講座【簡単なのに透明感!】プロが教える「手の塗り方」:アニメ塗り(セルルック)で指先に血色と立体感を宿すテクニック
【簡単なのに透明感!】プロが教える「手の塗り方」:アニメ塗り(セルルック)で指先に血色と立体感を宿すテクニック
2025年10月17日
はじめに:なぜ「手」の塗りがイラストの完成度を左右するのか?
キャラクターイラストにおいて、「手」は感情を表現し、物語を動かす非常に重要なパーツです。しかし、その複雑な形だけでなく、「どう塗れば皮膚のリアルさや柔らかさが出るのか」という質感表現にも悩む方が多くいます。 特に、境界線がはっきりしている「アニメ塗り(セルルック)」で手を塗ると、単調になりやすく、皮膚の持つ透明感や血色感を表現するのが難しいとされています。 今回、私たちはオンラインイラスト教室「Sketch Palette」が公開した「簡単だけど透明感のある手の塗り方」のタイムラプス動画を参考に、アニメ塗りのシンプルさを活かしつつ、指先に透明感と立体感を出すための4つのステップを徹底解説します。 この記事を読んで、あなたの描く手の表現を一段階上のレベルへと引き上げましょう!ステップ1:影(シェーディング)の基本ルールと色の選び方
アニメ塗りで立体感を出す最初のステップは、影の色の選び方と配置にあります。手が持つ複雑な起伏(骨、腱、関節)を、シンプルな影で表現することが目的です。Point 1. 影の色(Gペン)の選び方(動画 0:04-0:10)
- 色の選択:「影」の色は、単なる暗い肌色ではなく、動画のヒントにあるように「彩度低めのサーモンピンク」など、少し赤みや紫みを帯びた色を選びます。この色が、血管や骨の影を表現し、皮膚に血色感と厚みを与えます。
- 影の境界線:影は、できるだけまとめてベタ塗りし、コントラストをくっきりとつけます。アニメ塗りでは、この境界線が手の形を定義する重要な要素となります。
- 配置の場所:手の甲の指の間のくぼみ、指の関節のシワ、手首や親指の付け根の骨が浮き出ている部分など、凹んでいる箇所を中心に影を入れます。
ステップ2:透明感を出す「反射光」の魔法
手が持つ透明感を表現するためには、光が皮膚を透過し、反射している様子を描く「反射光」のテクニックが不可欠です。Point 2. 反射光(エアブラシ)の入れ方(動画 0:11-0:15)
- 反射光とは:物体に光が当たったとき、その光が周囲の環境や物体自身に反射して、影の部分を照らし返す光のことです。手の場合、指や手のひらの皮膚が薄い部分を光が透過している状態を表現します。
- 色とツール:動画では、「薄水色のエアブラシ」で影の部分に反射光をふんわりと入れています。この「薄水色」は、周囲の環境光や、手の透明感を表現するのに適しており、皮膚の薄さやみずみずしさを際立たせます。
- 配置の場所:影が落ちている部分のうち、最も光が当たらない側のフチ(輪郭線に近い部分)に軽く入れます。特に指先など、皮膚が薄く光を透過しやすい部分を意識しましょう。
ステップ3:アニメ塗りの命!コントラストを際立たせる「フチどり」
反射光を入れただけでは、アニメ塗りの持つシャープさが失われ、フワッとした印象になりがちです。ここで、コントラストを復活させるための「フチどり」テクニックを使います。Point 3. 影のフチの「ふちどり(フチどり)」テクニック(動画 0:16-0:20)
- 影のフチどりの役割:フチどりは、影と反射光のコントラストを際立たせ、アニメ塗りの見栄えとシャープさを復活させます。
- 色の選択:フチどりには、ベースと影の色の間の色、または鮮やかなオレンジやピンクを使います。このフチどりの色を、影と反射光が接している部分に細く入れます。
- 効果:このフチどりの色が、薄水色の反射光と影の濃い色との間で緩衝材となり、反射光の存在を強調しながらも、全体のコントラストを崩さずに皮膚の柔らかい境界線を表現します。
ステップ4:血色感と体温を宿す「グラデーション」調整
最後の仕上げは、指先に「体温」を感じさせるためのグラデーションの調整です。このグラデーションは、手の甲よりも、指先や手のひらに顕著に入れるのが効果的です。Point 4. 指先に「暖色グラデーション」を加える(動画 0:21-0:26)
- グラデーションのレイヤー:新しいレイヤーを作成し、エアブラシや柔らかなブラシを使ってグラデーションを入れます。
- 色と配置:暖色(オレンジや赤みの強いピンク)を選び、指先や指の関節、そして手のひらの中央といった、血が集中しやすい部分にふんわりと乗せます。
- 効果:このグラデーションを加えることで、手全体に血色感が宿り、生きている体温を感じさせる表現になります。アニメ塗りのシンプルさの中に、厚塗り的な色彩の豊かさが加わり、イラストの質が向上します。
まとめ:アニメ塗りの手を描くための4つの法則
今回解説した「アニメ塗りでの手の塗り方」の4つのステップは、手の質感表現だけでなく、キャラクターの皮膚や肌の透明感を描くための基礎技術の集大成です。- 影は彩度低めの暖色で、血色と骨格を表現する。
- 反射光は薄水色で入れ、透明感とみずみずしさを出す。
- 影のフチをふちどることで、シャープなコントラストを復活させる。
- 暖色のグラデーションで、体温と血色感を加える。