【背景が劇的に変わる!】プロが教える「青空と雲の描き方」5つの神テクニック(デジタルイラスト背景講座)
はじめに:なぜ、背景の「空」がイラストの完成度を左右するのか?
キャラクターイラストを描く際、つい主役のキャラクターに時間をかけがちですが、イラスト全体の雰囲気、時間帯、そして空気感を決めるのは、他でもない「背景」です。
特に、広大な「青空と雲」は、イラストの開放感や爽快感を最大限に引き出す、最も重要な要素です。しかし、「どうグラデーションをつけたらいいかわからない」「雲を描くと不自然になってしまう」と悩む方も多いのではないでしょうか。
今回、私たちはオンラインイラスト教室「Sketch Palette」が公開した「青空と雲の描き方」のタイムラプス動画を参考に、プロが実践する、簡単かつリアリティあふれる空の背景を描くための5つの神テクニックを徹底解説します。
この記事を読んで、あなたのイラストに透き通るような美しい空を描き加え、完成度を劇的に向上させましょう!
ステップ1:基本中の基本!「青空のグラデーション」テクニック
美しい空を描く上で、グラデーション(階調)は最も重要な要素です。空は単一の青ではなく、場所によって濃さが変化しています。この変化を正確に捉えることで、イラストに奥行きとリアリティが生まれます。
Point 1. 3段階の「水色」で深みを出す(動画 0:03-0:07)
動画で最初に示されるのは、空のグラデーションを3段階の異なる「水色」で構成することです。
- 濃い水色(上空):画面の上部(頭上)は、最も濃い水色(または青)を使います。空気の層が厚く、色情報が濃く見えるためです。
- 明るい水色(中間):中央部分は、濃い色と薄い色を繋ぐ中間色を使います。
- 薄い水色(地平線・水平線):画面の下部(遠方)は、最も薄い水色や、場合によっては白に近い色を使います。遠くの空は空気中の塵や水蒸気の影響で色が薄く、白っぽく見えるためです。
この「濃い→明るい→薄い」のグラデーションを作ることで、空にリアルな奥行きと立体感が生まれ、キャラクターを配置した際の遠近感が強調されます。
ステップ2:雲の土台作り!「楕円」を意識した輪郭線
空のグラデーションができたら、いよいよ雲の描き込みです。雲を自然に、かつ立体的に描くための秘訣は、「輪郭の取り方」にあります。
Point 2. 白で「楕円」を意識しながら雲をかきこむ(動画 0:08-0:12)
雲をフワフワと描こうとして、ただランダムな線を描くと、のっぺりとした不自然な雲になってしまいます。
- 雲の立体構造:雲は、球体や楕円形の集合体として捉えることが重要です。動画では、雲のベースを白いペンで描く際に、一つ一つの塊が楕円形であることを意識しながら描いています。これにより、雲に「厚み」と「フワフワとした立体感」が生まれます。
- ベースカラーは純粋な白:雲の最も明るい部分、つまりベースカラーには純粋な「白」を使います。これは、後の影入れやぼかし処理の効果を最大限に引き出すためです。
ステップ3:立体感を極める!雲の「影」と「ハイライト」の技術
雲に命を吹き込むのは、影と光のコントラストです。この工程が、雲を「のっぺりとした白い塊」から「空に浮かぶ立体的な塊」へと進化させます。
Point 3. 彩度の低い水色で影を入れる(動画 0:14-0:24)
雲の影の色選びは非常に重要です。グレーや黒を使うと不自然になりがちです。
- 影の色選び:動画では、「白に近い彩度の低い水色」で雲の影を描き込んでいます。雲の影は、青空の反射光を受けているため、完全にグレーではなく、わずかに青み(水色)を帯びた色になるのが自然です。この「彩度の低い水色」を使うことで、リアルな影と、空との一体感が生まれます。
- 影入れも楕円で:影を描く際も、楕円形を意識して、雲の底面や、奥まった部分に影を入れます。これにより、雲のモコモコとした質感と奥行きが明確になります。
ステップ4:プロの仕上げ!デジタルツールを使った「質感」表現
デジタルイラストレーションならではの便利なツールを使うことで、手描きでは難しい「空気感」や「遠近感」を簡単に表現できます。
Point 4. 「歪みペン」と「ぼかしペン」でリアルな空気感を(動画 0:26-0:38)
- 「歪みペン」で流線感を:動画では、「歪みペン(Liquifyツール)」を使って雲の端を横に伸ばしています。これにより、風の流れやスピード感、そして広がる雲の自然な形状を表現できます。雲の輪郭を完全に丸くせず、所々を歪ませることで、手描き風の温かい質感も生まれます。
- 「ぼかしペン」で境界を馴染ませる:最後に、「ぼかしペン(Blurツール)」を使い、雲と青空の境界を優しくぼかします。この処理により、雲が空に「フワッと」浮かんでいるような空気感と柔らかさが生まれます。ぼかしすぎると立体感が失われるため、雲の輪郭がわずかに残る程度に抑えるのがコツです。
応用編:夕焼け空を描く応用テクニック
動画の最後には、さらに魅力的な空を描くための応用テクニックが紹介されています。
Point 5. 夕方なら「青にオレンジ」を混ぜる(動画 0:39-0:41)
- 夕焼けの色の秘密:もし夕方や朝焼けの空を描きたい場合は、雲の影の背景色に「オレンジ色」を混ぜます。これは、夕方の光が雲の下側を赤く照らし、青い影の部分にも暖色系の色味が影響を与えるからです。
- 夕焼けの影の色:夕焼けの雲の影は、単なる青ではなく、紫や赤みがかった灰色を使います。影に暖色系の色を混ぜることで、イラスト全体に温かい雰囲気やドラマチックな感情を加えることができます。
まとめ:あなたのイラストに「透き通る空」を
今回ご紹介した「青空と雲の描き方」の5つのテクニックは、どんなイラストにも応用できる背景作りの基礎です。
- 3段階グラデーションで奥行きを出す。
- 楕円を意識して雲の輪郭を取る。
- 彩度の低い水色で影を入れ、立体感を出す。
- 歪みとぼかしで空気感を表現する。
- 応用でオレンジを混ぜ、ドラマチックな空を描く。
背景がしっかりと描けているイラストは、主役のキャラクターの魅力を何倍にも引き立てます。このテクニックをマスターして、あなたのイラストの完成度を次のレベルへと引き上げましょう!
さあ、あなたも「Sketch Palette」で、背景イラストの楽しさをもっと深く学んでみませんか?